「若冲」展行ってきた

@東京都美術館
若冲

「2016年の4月に都美で若冲やるらしい」

そのニュースを聞いてから「絶対混む」とか「都美なんだ(東博じゃないんだ)」とか「何が来るんだ」とか様々な話が飛び交い、「動植綵絵全部出るし、いろいろすごいことになる」という発表があってから「生きてるうちにこの規模の若冲展は無さそうだから何としてでも行かねば」というムードになり、ついにその時がやってきたわけですが。すごい盛り上がりですね、若冲展……。

一か月の短期決戦。早目に行っとこうということで観てきました。わたくし、動植綵絵揃い踏みは初めてなもので。
4/24(日)にNHKスペシャルが放送されたこともあり、最初の週末に比べて翌週は爆発的に待機列が伸びていましたね。他の方も言ってますけど、朝イチで並ぶより15時半くらいに行った方が良いと思います(平日の閉館時間は17時半)。私は平日の13時半頃に行ったんですけど、まあ大混雑でした。知ってた。
若冲はさらさらっと流れるような筆遣いで描く水墨画と、超緻密なのとがありますが、今回来ているのは9割が後者なうえに何処も彼処も隙のない素晴らしさだから皆じっくり観るんですね。なので全然列が進まないのですが、16時くらいになるとそれもだいぶ落ち着きます。(その辺の混雑回避指南は他の方のTwitterやブログが詳しいです。)

たしかに方々で言われているように、ラッシュ時の東西線かっていうくらい押し合いへし合いになりながらだったり、「進みながらご鑑賞ください」「立ち止まらないでください」という監視スタッフの声を聞きながら絵を観るのは些かアレです。けど、そっちの印象ばかりで帰るのはちょっと寂しい。なので、16時半くらいにもう一度、地下へ戻って入口へ。気になっていた≪鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図襖絵≫、さっきはめちゃ混みで至近距離でしか観れなかったけど、今の時間なら引いて全体を観ることができるんじゃないかな~?と思ったら予想通り独り占めできました❤静かに対峙するとみずみずしさみたいなものが沁みこんでくるような心地になります。やっぱこれだぜーと思ってしまう。

≪鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図襖絵(部分)≫ 1759年 
≪鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図襖絵≫(部分)

若冲は葡萄も豆も糸瓜も蔓の描き方がとても素敵で、こちらもご多聞に漏れず流麗なサインのようにくるくるっと巻いてあってとても良い。構図も素晴らしく、鹿苑寺大書院、私は「一の間」推しだな。

 

他にも先ほどは落ち着いて観ることができなかった、暴力的なまでに鮮やかで艶やかな≪旭日鳳凰図≫≪雪中雄鶏図≫などを鑑賞。派手な≪旭日鳳凰図≫を観た後に墨で描かれた≪鳳凰之図≫を観ると「ふおお、かっこいい!!」としびれます(※こちらは~5/8まで)。あと≪隠元豆・玉蜀黍図≫、すごい。茎のハイライト、筆の擦れで出してるのかしら。隠元豆の描き方も良い。地味だけれど、技術もりだくさん。

で、17 時くらいになってそろそろ良いかな?と再び釈迦三尊像&動植綵絵フロアへ。
かなり快適に鑑賞できました。絵の前には人がまあまあ居るけれど、先ほどのような殺気は無く、わいわいと各々が楽しむ朗らかな空間に。
動植綵絵だけだと「カワイイ・すごい・かっこいい」なんだけど(それでも十分満足ですが)、釈迦三尊像と同じ空間に展示されることによってストーリー性というか曼荼羅みたいな一体感が生まれており、釈迦如来を中心に、文殊菩薩・普賢菩薩が小さな生命たちの静と動とをそっと見守る神様ビューの世界。
鳥も花も虫も魚もみんな「ただ生きている」。ただそれだけなんだけど、そのなんと美しいことかっていうのがばんばん伝わってくるわけです。それは「生きているということは素晴らしい」という道徳的なものではなくて(いや、もしかしたらそういう意図も含まれてるのかもしれないけど)、「生物が生命活動を行うために備えている造形や行動はめちゃくちゃ美しい」っていう。それを全身全霊、気の遠くなるような作業と持てる技術を全部詰め込んで(その技術も適材適所)伝えている。
30幅全部隙が無いもんな……。これだけすごいの、5つくらい描いたらそれでもう集大成!ってレベルだと思うんだけど、それを30ってどれだけ集中力とセンスあるんだろうか。やっぱこの人は飛びぬけてるっていうか別次元だなと心底思いました。
動植綵絵は≪菊花流水図≫の色も構図も菊のフグ刺しみたいなところも全部好きだからそれが観たいという勢いだったのですが、もちろん≪菊花流水図≫最高だったんだけど、やっぱ≪群鶏図≫すごかった……。圧倒的王者だった。正面向いてる一羽がよく注目されていますけど、私は頂点のやつが一番好きです……。「君臨」って言葉がぴったりきてた。はーかっこいい。

左≪菊花流水図≫ 右≪群鶏図≫ ともに部分
左≪菊花流水図≫
右≪群鶏図≫
ともに部分

動植綵絵観るとこちら側とむこう側とで生気の交換みたいなものをする(気がする)ので、めっちゃ疲れるけどその分淀んでいたものが総取り替えされるような心地になります。

 

さて閉館時間も迫ってきたところで、動植綵絵と同じくらい人が集中していた≪菜蟲譜≫へ。この絵は所蔵館の佐野市立吉澤記念美術館でも時折公開されていますが、まるっと一巻通して鑑賞できるのは今回が初めて(?)だそうですね。もうな、これは通して見た方が良いわ。はじめは野菜のターンで、後半は虫や爬虫類のターンなんですけど、野菜から虫に切り替わる繋ぎが熟練のDJの如く華麗。この繋ぎの良さは通しで観てこそ。最後はめちゃ可愛い蛙で〆るところもニクイ。怖い顔した軍鶏とか描いてたのと同じ人が描いてんだよね、っていうキャラの描き分けが素敵。〆の蛙のところでお客さんが皆笑っていました。200年前に観た人も、こんな風に笑ったんだろうな。よきかな よきかな。
吉澤記念美術館のHPで全体図を観ることができます)

プライスコレクションから来ている≪鳥獣花木図屏風≫は最後の方に展示されていることもあって、閉館間際も列ができていました。これ、東北で見た時はケース無しの展示だったのよね。すごい思い切った展示をしてくれたんだなと、改めて有難く思います。今回の展示も、すごい頑張っていろいろ集めて企画してくれたんだろうな。滅多に出ないもの、何度か観ているけど改めて観ることができたもの、いろいろあって贅沢でした。
キャプションに「伊藤若冲」と書いてないのがまずすごいよな。それなりに点数あって全部若冲。良い絵の具使ってるのも大きいけど、大切に扱われてきたからこそ、これだけの時を経てなお目に鮮やかに映るのでしょう。これからも大切に、ずっとずっと未来まで残っていきますように。
回顧展として申し分なし。楽しみにしていた甲斐ある展覧会でした。了。

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