奈良原一高「王国」行ってきた

@国立近代美術館

湯川潮音の”Gabriel’S Message”と”Psalm 23”を聴いていたら、奈良原一高の王国を観に行きたくなって、居ても立ってもいられなくなったので、東近美行って観てきました。

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「王国」展は、北海道の修道院を撮影した「沈黙の園」と、刑務所を撮影した「壁の中」から成り立っています。聖なる修道院は男性のみで、償いの刑務所は女性のみの空間。
展覧会の名前にもなっている「王国」は、アルベール・カミュの『追放と王国』にインスパイアされたもので、会場の白い壁にはこの小説からの一節を引用したものが打たれています。これは、奈良原さんが1958 年に富士フォトで個展をされたとき、つまり作品を発表されたときにも引用されたものなのですが、これがまた写真に合っていて素晴らしいのです。

 

この展覧会、1978年に朝日ソノラマより刊行された写真集『王国 ―沈黙の園・壁の中―』に収められている「沈黙の園」60 点、「壁の中」30 点をほぼなぞるかたちでの展示構成となっています。(つまり二部構成)

 

個人的には「壁の中」より、断然「沈黙の園」が好きなのですが、これは本当にすごい。以前も観たことがある作品なのだけれど、やはり何度観てもとんでもなくすごいと思う。最高すぎる。

信仰の持つ不気味さと清らかさと迷いのなさと苦悩が内包されている。
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以前西オーストラリアで半年間暮らしたとき、何処か面白そうなところへ行こうと友人が誘ってくれた候補のひとつに、「荒野にぽつんと建っている修道院」というものがあった。

その、敬虔と無駄に満ちた響きに、一も二もなく飛びついて出かけた。

布教するなら、もっと人の多いところへ行けばいいじゃない。
そこへ行くまでのインフラを時間をかけてでも整えればいいじゃない。

なのに、なんでまた、そんな辺鄙なところに。

 

そこはとても静かで、本当に取り残された土地で、「わざわざ行かなきゃ辿り着けない」修道院で、なんというか私はその立地やそこで静かに祈る人たちにものすごく心を打たれたのです。

そこでかなりの数のシャッターを切ったけれど、あまり真髄に迫る写真は撮れず、悔しい思いをしました。それが「沈黙の園」ではばんばん繰り広げられてるんだもの、もう打ちのめされるし、これだよこれなんだよ!と、泣きたくなるよね。

また行こう。素晴らしい。

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その中央にヨナは
実に細かい文字で、
やっと判読出来る一語を書き残していた。
が、その言葉は、
Solitaire( 孤独) と読んだらいいのか、
Solidaire( 連帯) と読んだらいいのか、
分からなかった。

アルベール・カミュ作『追放と王国』(ヨナより)

 

奈良原一高「王国」
国立近代美術館
2014年11月18日(火)~2015年3月1日(日)
10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)

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